井上さくら の トキタマ日記

横浜市会議員 井上さくら のブログです

放射能汚染物を【学校や保育園に埋めちゃえ!】という横浜市

せっかく掃除して「きれい」にしたはずなのに、そこに汚れた物をわざわざ戻しますか? ふつう・・・

まずは、横浜市が市民に内緒で行った汚染物処分の様子を、教育委員会に出された報告書から見てみましょう。

これは金沢区にある釜利谷西小学校が、それまで変電室で保管していた放射能汚染物を今年8月、学校敷地内に埋めた様子です。

鍵のかかる変電室で、何かの缶に「放射線量が以前基準値を超えていた土、在中」と記して保管していた物を、わざわざ取り出しビニール袋のまま普通に穴を掘って埋め、その後には何の表示もせず「埋設処分完了」としています。

この事が分かった今年10月初めの時点で、丸山台中(港南区)、笹山小(保土ケ谷区)、上白根中(旭区)の計4校で「埋設処分」が行われていました。

この「放射線量が以前基準値を超えていた土」とは、2011年9月から市内の学校等で放射線量を計り基準を超えた場合に「清掃」を実施した「マイクロスポット対応」で、現場から除去した物です。
(当時の基準:地上1mまたは50cmで0.23μSv/h以下かつ地上1cmで0.59μSv/h)

記録を見ると、放射線量が高くて清掃したのは雨樋の下や屋上の側溝など、雨に含まれていた放射性物質が流れて貯まったり、乾燥したりを繰り返したと思われる場所。
そこにたまった物を除去し、基準を超える高線量だった場所の線量が下がったことを確認して横浜市は「安全になった」と言ってきました。
つまり除去した方は相当程度の放射性物質を含んでいる危険な物であり、だからこそ普通のゴミにはせずに保管していたのです。

ところが横浜市は今、せっかく取り除いたこの汚染集積物を、埋めてしまおうとしています。
しかもそれを、特に放射能の影響を受けやすい子ども達が生活する場である学校や保育園の敷地内で行え!と命じているのです。

対象となっているのは次の通り。

学校と保育園では少し経緯が違います。

① 公立学校 
市は、2011年9月から全ての市立学校の校庭や汚染が集積しやすい場所の空間線量を測定し、基準以上となった場合に清掃
⇒ 小学校13校、中学校7校で基準以上となり除去物を変電室など鍵のかかる場所で保管
⇒ 昨年、保管中の除去物を袋の上から空間線量を再測定して仕分け
⇒ ・基準未満:11校➡校内埋立処分  
  ・基準以上:9校➡校内埋立保管 との方針

区別の表にしました。

② 市内保育施設

2011年9月 保育施設は緊急対応として、測定を省き側溝などの危険箇所を全施設で清掃
⇒324施設全て、各敷地内で保管
⇒2012年 保管中の除去物を袋の上から空間線量計測、学校と同じ基準により仕分け
⇒・基準以下310園* ・基準以上14園 
⇒基準以上14園の除去物を袋の上から線量再測定して再仕分け(1園は測定前に処分)
⇒・基準以下11園と*の310園➡園内埋立処分
 ・基準以上2園➡園内埋立保管 との方針

汚染集積物を持っている324施設の一覧。
これら全ての園が、これから敷地内に埋めようとしているか、既に埋めてしまったかのどちらかです。
全区にあります。お子さんの通う園をご覧になってみて下さい。

汚染物:324保育施設.pdf - Google ドライブ

これらのうち、袋の上から線量を測り、基準以上になったのが以下の14園です。

何が問題か

この件、私は以下のような問題があると思います。

1、子どもの生活圏に埋める危険性
学校や保育園は子どもの日常生活の場。
10センチの覆土程度では、子どもが掘り返すこともあり得ます。
せっかく除去した物を、特に基準以下であれば何の表示も無く埋めることとなり、放射線の影響を受けやすい子どもを被曝の危険にさらすことになります。

2、その物の汚染実態を把握していない
市は空間線量だけを測って安全としていますが、線量はその物質が置かれている状態や周りの環境に左右されるため、その物がどれだけ危険なのかは分かりません。
土の中に埋めてしまえばビニール袋の劣化や虫喰いなどで容易に放射性物質が環境中に出てきます。そうなれば今の状態の線量に意味はありません。
どのような扱いをすべきなのかを決めるには、核種分析をしてkgあたりのBqベクレルを知ることが必要です。
実際この「マイクロスポット対応」をした当時、横浜市が計測した除去物の中には、線量0.17μSv/h(市の基準値以下)でも3万5000Bqという、超高濃度の放射能をもつ物もあり、それらは現在ドラム缶に入れられ厳重保管されています。

3、議会質疑で明らかになるまで秘密裏に行ってきた
本当に安全で問題ないのなら、保護者はもちろん、市民全体に公表し説明すれば良かったのです。
学校は災害時の避難場所でもあり、地域全体の公共施設です。
そこに埋めるというなら、地域住民への周知も必要です。
委員会の指摘で表面化し、市長が会見で謝罪する事態となって初めて、埋めてしまう方針が市のホームページに掲載されましたが、それだけで済む問題ではありません。

ではどうすれば良いか

子ども達の日常生活の場であり、地域の公共の場でもある学校や保育園から、まずはこの汚染集積物を遠ざけましょう。

運ぶ場所はあります。
この写真は鶴見区にある「北部汚泥資源化センター」の敷地です。

現在、下水汚泥焼却灰を保管しています。
写真の奥に見える茶色のコンテナや、手前のグレーのビニールシートで覆われているのがそれです。

横浜市が「マイクロスポット対応除去物」としている物は合計しても、コンテナ1台に充分入ります。
今年9月時点でこの場所には放射能を含む汚泥焼却灰の入ったコンテナが941台置かれています。
そこにあと1台追加すれば、学校や保育園に汚染が集積した物を埋める必要は全くありません。

ここにコンテナで置く事も暫定的な保管ではありますが、子ども達に触れるかも知れないような所に埋めて見えなくしてしまうよりも、まだしも安全ではないでしょうか?

2011年3月に福島第一原発が爆発してから3年半以上経ち、放射能汚染の話題もずいぶん減りました。
とは言え、その汚染は人間の感覚ではとらえられない状態で、私たちの日常生活の中にまだ存在しています。

無い方がありがたいからと言って、その有無を確認もせず「無い事」にしてしまって良いはずがないのです。


埋めた4校の報告書より
丸山台中
処分報告:丸山台中.pdf - Google ドライブ

笹山小
処分報告:笹山小.pdf - Google ドライブ

上白根中
処分報告:上白根中.pdf - Google ドライブ

釜利谷西小
処分報告:釜利谷西小.pdf - Google ドライブ

この問題が表面化する発端となった私の質疑などを含め、経緯をまとめて下さっているサイト
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