井上さくら の トキタマ日記

横浜市会議員 井上さくら のブログです

横浜市大への議員による「不当圧力」はあったのか

 

9月10日から横浜市会定例会が始まりました。

 

8月の市長選挙を経て、山中新市長にとっての初議会という事もあり注目されています。

 

市議会では市長が提案する議案の他に、市民からの請願と陳情を受けて対応します。

 

今回、私が紹介議員の一人となった請願に「横浜市大への不当圧力問題に関する請願書」があります。

 

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横浜市大への不当圧力問題に関する請願書(請願者の許可を得て掲載しています)

今年7月まで横浜市のコンプライアンス顧問を務めていた弁護士の郷原信郎さんが提出したもので、請願の趣旨には

「横浜市会議員らが、横浜市大当局に対して、横浜市大の理事長・学長名の文書発出を要求し、立候補予定者であった山中氏を称賛し、大学として推薦するかのような文書を発出させる不当圧力事案が発生し、これにより、大学の自治・政治的中立性を侵害した疑いが生じました」

とあります。

 

これが事実だとすれば大変な問題であり、議会として真相究明する責務があります。

 

請願提出の前から、こうした問題があるとの指摘を受けて資料請求していたところ、ようやく揃いました。

 

 

まず、市大が教職員あてに発出した2通の文書。

 

1通目:令和3年6月16日付 今朝(6月16日)の新聞報道について

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市大文書 6月16日発出

 

公立大学法人として選挙活動や政治活動へ関与しない旨を改めて周知する内容です。

 

 

2通目:令和3年7月26日付 令和3年6月16日に皆様に発出した文書「今朝(6月16日)の新聞報道について」の記述について(お詫び)

 

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市大文書 7月26日発出

 

1通目の「本人と連絡がつかない」という記載が事実と異なっていたとして「心よりお詫び」「たいへん申し訳ございませんでした」など謝罪の言葉。

 

さらに「山中先生におかれましては、これまで素晴らしい研究成果や学内のご実績により、横浜市立大学のプレゼンスを高めてくださりました。今後も感謝の意を学内外へ伝えて参る所存」などとあり、1通目の訂正にとどまらない記載がされています。

 

この2通がどのような経緯で作成されたのか、2通の文書の決裁書類、途中の申し入れや面会等の記録を含む関係文書すべてとして請求し、2つの決裁文書と2つの面談記録が出てきました。

 

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公文書として請求し収受しました(通常非公開の電話番号等は青い点線囲みで伏せています)

 

 

(1)市作成文書 

 

横浜市の中で、市大関係の交付金や評価委員会などを所管する政策局として面会し、作成した記録

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市側と横浜市会議員との面談記録

 

(2)市大作成文書

 

市大として面会し、作成した記録とその際に使用した文書案(7月21日付)

 

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市大理事長と市議会議員らとの面談記録

 

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市大が作成した文案(7月21日付け)

 

これによると、市会議員が同席して3回に及ぶ面会が行われ、

文書の訂正、謝罪、学長名を入れることなどを求め、

市大側がそれに応じ、途中の文案なども見せながら、

最終的に2通目の文書が発出されたと分かります。

 

1通目の記載に事実誤認があるのなら、

その訂正を求めるのは当事者として当然の権利だと思いますが、

この記録、特に3回目の7月24日の内容はその範囲を超えているように思います。

 

この回では市大側が案文として作成した7月21日付けの文書を見せ、

議員側がそれに対し「SNSやインターネット上で理事長・学長の不誠実を知ってもらった方が良い」など脅しとも取れる発言をしながら、

要求をさらにエスカレートさせ、

その結果、市大が作成して示した7月21日付けの理事長名による文書に大幅な変更が加えられ、

学長と理事長との連名による文書が最終的に発出されたと見えます。

 

こんなことが本当に行われたのでしょうか。

 

これは、議員の圧力で大学の自治を侵害する行為ではないでしょうか。

 

議員は、市大に対する交付金を含む予算案の審査をする立場でもあり、政治権力の一部です。

 

その議員が、学問の自由、大学の自治をないがしろにする言動をすることは許されません。

 

このような疑いが示された以上、横浜市議会として事実を明らかにし、

問題があるなら改めなければ、市議会議員全員がこうした行為をしていると市民から思われてしまいます。

 

議会としての自浄能力を示すためにも、明確な事実解明が必要です。

 

なお、面談記録のうち、黒塗り部分は私に提出された際、すでにこの状態で伏せられていました。

青い点線による囲みだけは私が加工したものです。

ここには市会議員の名字が記載されていますが、できればご本人が自ら説明していただくのが望ましいと思い、このようにさせて頂きます。

 

この請願については、3人の議員が紹介議員に名を連ね、9月24日の政策・総務・財政委員会にかけられ審議される予定です。

 

 

請願が市議会に出されたことを報道する神奈川新聞

https://www.kanaloco.jp/limited/node/669767