井上さくら の トキタマ日記

横浜市会議員 井上さくら のブログです

学校給食による内部被曝の問題、公表資料からわかる横浜市の不見識

 横浜市の学校給食に、放射能汚染の稲わらを与えられていた牛の肉が使われていた事が明らかになりました。
 今年の4月から6月にかけて、のべ127校の小学校給食に使われ子どもたちの口に運ばれています。
 子どもたちの被害をなんとか最小限にしたいと思って放射能汚染の問題に取り組んできましたが、本当に申し訳ない気持ちでいっぱいです。
 それにしても、8月4日付けで横浜市がホームページで公表した調査結果のコメント、あまりにヒドイです。

1. わかっていない事をあたかも問題なかったかのように記載
 
 教育委員会はこの調査結果の公表資料の冒頭に「現在までのところ、暫定規制値を超える放射性物質が検出されたとする報告はありません。」と書いています。
ん?規制値は超えなかったのか、と私も一瞬思いましたが、これはそういう意味ではありません。
担当課長に確認したところ、給食に使われたこの20頭については残っている在庫などがみつからず、一頭も検査できていないと言うのです。
確かに「報告はありません」よね? 検査できないんですから!
他の自治体で検査できたところでは、暫定規制値を大幅に超えるものも見つかっており、もはや検査できないという事はそうした危険もあったものと考えるしかありません。
こんな大事な事をあえて誤解しやすいように書くとは、一種のダマシですね。
「報告はありません」ではなく、「検査できていません」と正直に書くべきです。

2.この期に及んで内部被曝をレントゲンと比較し、影響はないと言う無責任

 さらには、資料の最後に暫定規制値の二倍のセシウム汚染牛を食べた場合をICRPの係数で試算し、100回摂取して胸のX線検査と同じだと示し「健康に影響を及ぼすものとは考えられません」の一言。
体内に放射性物質が取り込まれる内部被曝と、レントゲンのような管理された放射線の外部からの照射は全く別物で、けして同列に扱ってはいけないという事、もう多くの方がご存知です。
原発事故直後にはこうした比較がマスコミなどでも多用されましたが、それが専門家からの批判もあって、もうさすがに使われなくなっているというのに。
 検査をする試料も無い中、何の根拠も無く暫定規制値の2倍の汚染牛を例にし、何の根拠も無く健康への影響を否定する。市民に少なくとも事実を説明しようとする姿勢すら感じられません。

 
 4月から6月の給食と言えば、まさにその時期にたくさんのお母さん、お父さんたちが議会への請願や行政との話し合いで、給食について放射能汚染のリスクを避けるよう求め続けていた時でした。
 私も何度も訴えましたが、その度に横浜市は「市場に出ているものは安全です」と繰り返すばかりで、市民の声をかえりみようとしませんでした。
 その結果、大切な子どもたちに放射性物質を食べさせてしまった事を、横浜市として真剣に反省し、せめて今後に活かさなければなりません。
 今からでも、できることはまだたくさんあるはずです。
給食は学校だけでなく、より幼い子が通う保育園や幼稚園でも行われており、その対策も含め、給食による内部被曝を極力ゼロにする方策を急がなければならないと思います。

セシウム汚染の稲藁が与えられた牛の肉が給食に出された日付と学校名の一覧⇒http://www.city.yokohama.lg.jp/kyoiku/kyu-sokutei/inawara.html