2021年から今年2月にかけて行われた横浜市の経済対策【レシ活】。
総予算約100億円もの税金を投入したこの事業ですが
公金の使途が不明朗な状況におちいり、大きな問題になっています。
ちなみに【レシ活】とは…
・物価高騰対策として買い物レシートの20%分をポイント還元するとした横浜市の事業
・横浜市が約100億円=スマホ分90億円、郵送分10億円もの公金を支出(元の財源は全額国費)
・スマホ版はWED(株)が運用する「ONE」というアプリへレシートを投稿するとアプリ内のウオレットにポイントが貯まる仕組み
・ポイントはそのままでは使えず、電子チケットへの交換か銀行振込が必要(いずれも手数料が取られる)
今年2月には市の予算を使い切ったとして終了した【レシ活】でしたが、
6月中旬、この【レシ活】ポイントが消えている!という声が多く届くようになりました。
そしてなんと、市からこの事業を委託された企業、WED(株)が
横浜市に無断で規約を変更してポイントの有効期間=365日を120日へと短縮し、
市民に付与したポイントの一部を無効にした上、
それを自社の収入にしていたことが判明。
しかもその一部は、変更後の規約〈120日経過後に失効〉さえ守らず、期日前に無効=残高ゼロとしており、その明確に違法な失効の被害者は9万7千人、被害額は4億円にものぼるというのです。
ポイントと言っても原資は全て税金です。
【レシ活】の問題
1、市民の9割が使わないのに効果検証せず延長を含めて4回もの契約(合計約90億円)
2、事務費、手数料など「中抜き」の構造=市民に全額は届かない
3、市の事業なのに市民と企業が個別に契約を結ぶ形式=規約変更はWED次第
4、「ポイント付与」の悪用=規約により事業者が価値変更可能なのに市は公金で全額前払い済み
5、1ポイント=1円との交換率や手数料率の規定なし、規約変更やポイント失効の想定なし、最終支出を市は把握不能などズサンな契約
失効させたポイントの返還は当然として、規約を勝手に変更でき、ポイント失効を見込まず、80億円もの公金がどう使われたのか市は実態把握できない等、ズサンな契約を市が繰り返していたことも問題です。
最初の契約はプロポーザル公募をしたとはいえ、参入条件が限定的であったため参加者はWED(株)一社のみで競争は働かず。
2回目はWEDと楽天との2社の競争となりながら実績評価などからWEDに。
3回目は時間がない等として公募すらせずにWEDと単独随意契約。
この3回目の契約時には既に規約変更でポイント有効期間が短縮され市民に不利益な条件となっていたにも関わらず、
その弊害や事業効果の検証もせず、
組織的検討もしない段階で山中市長が独断で、
事業継続を方向づけていたことも明らかになっており、
山中市長の責任は重いと言わざるを得ません。
この問題を山中市長にただした井上さくらの議会質問👇
レシ活問題などを話した報告会(今年7月8日)録画👇
(開始から5分20秒後からレシ活問題)
7月6日、横浜市はWED(株)との協議経過を公表し、
変更後の規約(120日経過後にポイント失効)さえ守らずに失効させた金額が約4億円、被害者は9万7千人にのぼること、
この規約違反分についてはポイントの復元を検討していると述べています。
横浜市の記者発表資料
しかし、それから3週間過ぎても具体的な復元方法などの説明はなし。
また、規約違反の4億円は失効総額の9割にあたるとの見込みも市の記者会見で述べられましたが、
では失効総額はいくらなのか?と聞くと、
それは分からないとのこと。
え
全体が分からないのになんで9割と言えるの?
見込み…
だそうです。
全体額は確認したのか?
と聞くと、
それは判別不能で分からないと事業者(WED)が言っていると市担当者の答え。
それで9割とは、この範囲だけで終了にしたい思惑が見え見えです。
横浜市はWEDの言い分丸呑みではなくデータのログを提出させるなど、事業執行について根拠に基づいた説明をさせるべきです。
そもそも、120日未満で失効したものだけでなく、
本来、市民に届けるための「還元」がされなかった失効額全体を返還させなければなりません。
横浜市とWED(株)との契約書全てを資料請求してみたところ、
2回目(令和4年12月1日契約)以降では表紙部分の特約条項として
「事業費は預かり金として処理しレシートを活用した市民・事業者支援事業のポイント還元分の支払い以外に流用してはならない」と明記。
この【特約条項】
ポイント還元分以外 ではなく
ポイント還元分の【支払い】以外 に流用してはならない
というところが大事ではないでしょうか。
単にポイント付与で完了でなくポイントの交換時にWEDが口座または電子チケット等のために【支払う】
その支出以外には公金は使用できない…はずです。
この本旨を適用し、WEDが収入してしまった失効分は返させるべきです。
ところで、契約書では成果物としてWED(株)は横浜市に報告書を提出することとなっており、その中には「ポイント利用状況のデータ」が含まれています。
そこで、WED(株)が横浜市に提出した報告書の全てとなる4つの報告書を入手してみたところ…
どの報告書でも「ポイント利用状況のデータ」はなんと1行のみ。
それも参加者と出金者数、チケット交換者数のみです。
(uu=ユニーク・ユーザー=人数)
何ポイント交換され何ポイント使われずに残っているのか?
失効は何ポイントで市民に実質届いた金額はいくらなのか?
そのどれも全く記載が無く、市もその報告を求めず、この報告で良しとして事業を終了。
そして、実際には使われていない=支払われていないポイントの分まで、横浜市は公金をWED(株)に渡してしまい、
それを取り戻すことができないのだと言っているのです。
信じられないズサンさ、無責任さ。
こんなことで総額約90億円もの貴重な税金が使われていることに、改めて愕然としてしまいます。
これだけの税金を適正に使っていれば、本来どれほど多くの市民が救われたのか?
怒りを禁じ得ません。
引き続き調査を進め、失効分全体の返還はもちろん、横浜市の責任を含めた全容の解明に取り組みたいと思います。
そのためにも、ぜひ多くの方にこの実態を知っていただきたいと考え、私が資料請求して入手した「レシ活」に関する契約書と報告書を公開いたします。
(Googleドライブからダウンロードいただけます)
契約書一式(変更契約を含む)
https://drive.google.com/drive/folders/16_6PV030nARe4c_ORI_MwXSta0GWCUZd
報告書一式(計4本)
https://drive.google.com/drive/folders/1v38cZxvr8S1MSFjI5W2_VfJ-kJnP34ot
横浜市がまとめた「実績一覧」
https://drive.google.com/drive/folders/1KGVg1DJqr1QzWZCvQv7HpquFLCszibRQ
こうした事業に私よりずっと詳しい方も多くいらっしゃると思いますので、ぜひ吟味いただきお気づきのことなどご指摘いただけますと幸いです。
また、自分も気が付かずに失効してしまった、あるいは、こういう被害があるなどの情報提供も歓迎です。
以下のメールまで、ぜひお寄せくださいませ。
最後までお読みいただき、ありがとうございます。