井上さくら の トキタマ日記

横浜市会議員 井上さくら のブログです

公園や宅地造成にまで放射性物質入りの「改良土」

高濃度の放射性物質が検出され各地で問題になっている下水汚泥の焼却灰。
横浜でも、セメント原料としてのリサイクルが5月にストップして以来、約3ヶ月分1,300トンが貯蔵されたままになっています。
ただし、他と違うのは、これは全体の半分にすぎないという点。
南部汚泥センターで出た焼却灰は民間のセメント会社に引き取られていましたが、鶴見区にある北部汚泥センターの焼却灰は、これまでも公共工事用の埋め戻し材として使われており現在もそれは止まっていません。

民間は放射能汚染を心配して受け入れないのに、公共はどんどん使っている、それで良いのか?と、以前「横浜で起きている放射能モラルハザード」という記事で書きましたが、その後、実際にこの焼却灰入りの「改良土」を使っているのはどこの工事なのか、調べてみました。

毎月100カ所を超える工事に使い、拡散中

入手した工事一覧によると、5月分だけでも116カ所に及び、市内各地の水道、下水道工事に広く使われています。
さらに、工事場所の中には、公園や宅地造成というものも。
川崎市公共工事名も多く出てきます。

放射性物質が近所に埋められている事を周辺住民は全く知らないわけですよね」と、担当者に言いますと、「工事業者は知っているかもしれないが、住民までは知らなくても。埋めてしまう物だし、外には出ないし影響は無い。」と。

しかし、工事はまたいつか必要になり必ず掘り返される時が来ます。
また、地中でも地下水などへ流れ出る事が充分考えられます。

「改良土」に使われている横浜の焼却灰の汚染度は、もちろん、福島などの深刻な状態と比べればずっと低い物です。
とは言え、直近のデータでも、セシウム134とセシウム137の合計で5,909ベクレル/kgが焼却灰から、同じ日の「改良土」からは129ベクレル/kgが検出されています。(7/28採取分)
これは、国が示している流通させてよい基準「クリアランスレベル」100ベクレル/kgを相変わらず超えているのです。
所管の環境創造局では、国の考え方は「クリアランスレベル」を多少超えても良いと言っている、と言うのですが、私はそうした感覚こそ危険だと思います。

管理不能な拡散をすぐ止めるべき

汚染された稲わらから牛へ、そしてこれを食べた「人」へというように、最初に汚染された物から、いま二次三次の汚染が引き起こされています。
初動で、できるだけ押さえ込まなければならなかった物を野放しにしてしまい、更に、福島第一原発からは今もなお放射性物質が環境中に放出され続けているのですから、拡散するのもある程度は仕方が無い、と言う方もいます。
原発事故の収束のメドも立っていない以上、不可抗力、な部分もあるでしょう。
しかし、それはできることを全てやってからでなくては、と思います。

下水汚泥の焼却灰が高濃度で汚染されているのは、とらえどころの無い環境中にいったんは散らばった放射性物質が雨に流され、あるいは排泄物となって下水に入り、回収し凝縮された結果なのです。
せっかく人間の力で集める事のできた毒を、なぜさらに管理できない地中へと拡散させるのか。
放射能が検出された焼却灰は再利用ではなく厳重に保管し、その費用を含め東京電力原子力ムラの人たちに責任を問わなければならないと思います。


横浜市の下水汚泥等の放射性物質濃度推移
http://www.city.yokohama.lg.jp/kankyo/gesui/housyaseibussitsu/pastdata.pdf