井上さくら の トキタマ日記

横浜市会議員 井上さくら のブログです

下水汚泥の焼却灰、南本牧への海面埋立は「凍結」=声と行動は力になる

先週の9日金曜日に突然発表された「南本牧処分場へ、下水汚泥の放射性焼却灰を海面埋立」の問題、今日の市長会見で急きょ「凍結」されることになりました。

昨日はこの埋立の発表に驚いた、なんと100人もの市民が市長室前につめかけ、抗議文を提出し、












その後、記者会見。(会見場に入りきれず、外に市民があふれていました)

記者からこの件を今日知ったと言う方どれくらいいますか?と聞かれ、大半が挙手。今日知って、今日行動、それが100人! すごい力です。

小さなお子さん連れのお母さんや、海を愛するサーファーさんや、孫を心配する年配の方や・・・・

ツイッターでこの事を知った俳優の山本太郎さんも駆けつけ、訴えて下さいました。





私も問題点をお話しました。










同時並行で、この問題を担当する市議会の常任委員会も開かれ、多くの議員から、担当局(環境創造局と資源循環局)に厳しい指摘がされたようです。
この事は、今朝の新聞各紙でも取り上げられ、当初「15日以降に投入開始」とされていたため、前日の今日、市長がどう決断するか注目されていました。

市長会見、私は途中で気づいてインターネット中継で見ておりました。
「延期ですか?」という記者の質問に、林市長は「延期ではなく凍結」と言い、代替案の模索をするのであり、単純な延期ではないとその点、明言していました。
周辺住民への説明について、これまで担当局が「説明した」と言っていたのは発表当日に近くの連合町内会長一人に知らせただけだった事が会見の中で明らかに。
これについて市長自身が「私も驚愕しました」として、今後、住民や関係者と話し合う説明集会等を設ける事を約束しました。
さらに、記者の一人がこの件について担当局に問いあわせたところ、
「健康に影響は無いので説明の必要は無かった」と職員から言われたのだが、どうなのかと質問。
これに市長が「体に影響が無いという事はあり得ない。申し訳ない。改めて説明したい。」と釈明に追われました。

この、市長自身が「驚愕した」り、職員の発言に謝ったりしなければならないという事実からいくつかの事が分かります。
実は、この会見の後、方針変更について幹部職員が私の議会控え室へ説明に来ました。
黙って聞いていると、その幹部は「そういう事でこれは延期になりました。」と私に説明。
「ふ〜ん、延期なの?」と聞くと、
「はい、延期です。」
「市長がそう言ったの?」とさらに聞くと、
「え、まあ。」
「私、会見聞いてましたけど、延期とはおっしゃってなかった、凍結でしょ。大事なところをすり替えないで」と、ここまで言ってようやく、その方は「凍結です」と認めました。
こうしてトップの意思が(こうして示されていても)ねじ曲げられるのだなと改めて実感。

「延期」は日延べですから、現状が何も変わらなくても実施が可能ですが、「凍結」は何か現状が変化したと言える理由が無ければ「解凍」できません。
似ているけれども、行政上の意味合いは大きく違います。

今回の海面埋立の突然の発表と凍結がなぜ起きたのか、まだ見えていない部分もたくさんありますが、まず浮き彫りになったのは各局のご都合主義とタテワリ、そしてそれを市長が統括できていない現状です。
下水汚泥焼却灰を敷地内に抱えて困っている「環境創造局」
本牧処分場の管理責任を負いながら、その安全評価や住民への説明は投入を急ぎたい「環境創造局」に任せっきりの「資源循環局」
市民の健康影響について責任を追っているはずなのに知らぬ顔の「健康福祉局」。。。

今回の「凍結」はあくまで中止ではありませんし、上記のような都合によるすり替えも横行するでしょうから、これからが大事です。
貯まり続ける焼却灰をどうするかについても、技術や知恵を探し出し、絞り出し、結集しなければなりません。
当面の保管についても、作業に従事する職員や周辺地域に極力影響を及ぼさないよう、今の仮置きから堅固な保管方法へ変える必要があります。
こうした保管や除染、処理に関する技術を、研究機関、大学、企業や技術者から広く公募し提案してもらう事業を横浜をあげて行なってはどうでしょうか
福島はもちろんですが、これから全国で同じ問題が続発します。
国にも対応を求めなければなりませんが、大きくはなくてもすばらしい技術を持った会社も横浜にはたくさんあります。
その知恵と技術、それを発掘する事こそ全国に先駆けて行ないたいものです。

市長は、今回のことで今のままではダメだという事をはっきり認識されたでしょうか。
何事もない時ならいざ知らず、311の大震災と原発事故、そしてその後に拡大する放射能災害のまっただ中では、市民によって選ばれ直接責任を負っている市長と、私たち議員がこれまでと違う決断をしなければならないのだと思います。