井上さくら の トキタマ日記

横浜市会議員 井上さくら のブログです

ちょっと待った〜❗(2) 横浜旧市庁舎の今

前回のブログでお伝えした横浜市の旧市庁舎の問題

 

本契約の期限9月30日が迫る中

山中市長の判断に注目が高まっています。

 

地元テレビ局(tvk)も

議会での市長答弁や住民訴訟などを含めた取材報道を行い

今月29日までに山中市長が判断する見通し、として注目しています。

 

f:id:sakuraline:20210927222634p:plain

今月29日までに市長が判断と報じるテレビ神奈川のいち場面

 

いま、どうなっているのか?

現状についてご報告します。

 

まず、最近のことをざっとおさらい。

 

 

9月〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

16日 本会議 山中市長 答弁

「建物価格算定の妥当性を検証」庁内手続きは一旦停止し決裁権限を局長から市長へ変更

 

17日 市長答弁を受け都市整備局が建物鑑定評価を検証する委託を2社と随意契約

 

21日 集団訴訟の原告「横浜市民の財産を守る会」土地賃料の検証・本契約留保等の要望書提出

 

22日 常任委員会

建物価格検証の委託発注済み→納期は10/29だが「概要版」を9/24に受領し市長に説明、判断求める旨の答弁

 

24日 「横浜市の旧市庁舎の未来に住民意志の反映を求める会」

Change.Org署名3,725名と質問書(現計画の増収等経済効果、土地貸付条件妥当性)を提出

f:id:sakuraline:20210927224530p:plain

Change.Orgでは72時間で3,725人の署名が集まった
署名提出後の記者会見

 

24日 都市整備局が建物鑑定評価の検証について「概要版」を受領

 

27 市長に「概要版」での「説明」

 

30日 土地貸付と建物売却、2つの本契約を結ぶ期限

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

こうした経緯を受けて、冒頭でも紹介した通り

ようやく新聞紙上や地元テレビでもこの問題が報道されるようになってきました。

 

f:id:sakuraline:20210927224929p:plain

新市長の判断に注目する報道(毎日新聞 9/19)

 

このブログを書いている27日の夕方時点で

まだ都市整備局の担当者は山中市長へ建物鑑定に対する検証報告「概要版」の説明はしていません。

 

そもそも鑑定評価の検証は

10月29日までの1月半かけて行う契約となっているのに

それよりもずっと早い、契約からわずか1週間の9月24日に「概要版」を提出させ

これで市長に説明し判断を求めるというのがおかしくはないでしょうか。

 

市長は、この問題で多くの声が自分のもとにも届いているとして

自ら妥当性を検証すると答弁し

そのために市役所内部で回っていた本契約の決裁を止めているのです。

 

本契約期限の9月30日までに時間が無いことは確かですが

そういう状況を承知の上で

市民との約束として妥当性の検証をすると市長が決断した以上

市役所幹部はそれを補佐し十分な判断材料を準備することが仕事のはずです。

 

しかし、この問題を質疑した常任委員会でのやり取りから

この事業を進めてきた平原副市長や都市整備局長らは

あくまでも9月30日までの本契約ありきで事を進めていることが分かります。

 

f:id:sakuraline:20210927221529p:plain

旧市庁舎についての予約契約書 建物売却と土地貸付の2本ある

 

9月30日を本契約の期限と定めているのは

昨年12月に市と事業者とで結んだ「予約契約書」です。

 

ここには事業者の都合で本契約の期限を延長した場合、遅延損害金を市が徴収できると定めていますが、

市の判断で延期する場合については何の規定もありません。

 

 

f:id:sakuraline:20210927221653p:plain

予約契約 本契約期限とその延期についての記載部分

 

 

だからといって市が何でもできる訳ではもちろんありませんが、この問題を問う市民の声がかつてなく大きくなっていることや、市長が市民にこの問題での再調査や代替案検討、情報公開、市民の納得が必要だと話してきたこと、そして住民自治を尊重すると訴え市長交代が実現したことは、十分な事情の変更にあたります。

 

また、旧市庁舎街区では大正時代の横浜市庁舎の遺構が見つかり、これが埋蔵文化財として登録され現在発掘調査中です。

 

この調査は今年度いっぱい来年の3月まで行う計画で、

終了するまで基本的には工事に入れません。

 

旧市庁舎街区から見つかった遺構はこの地にかつて建てられた

【二代目庁舎】(1911 年~1923 年)。

 

f:id:sakuraline:20210927221829p:plain

横浜市の歴代庁舎 横浜市のホームページより

 

この二代目庁舎はルネッサンス様式を取り入れた美しいレンガ造りだったそうですが、関東大震災(1923 年)で被災焼失。

 

今回、その建物基礎の一部やレンガなどが見つかっています。

 

昨年の試掘で開発予定部分から確認されたため

貴重な埋蔵文化財であるとして県から包蔵地指定を受け今年1月から本格的な発掘調査が行われているのです。

 

この発掘調査をきちんと行い、

専門家による評価を経て、歴史遺構として現地保存すること

=現在の開発計画の変更等を含めて再検討が必要な状況です。

 

関東大震災のガレキを埋め立てて造られた山下公園とあわせ

日本近代史の重要な1ページが、この関内駅前から山下公園にかけてのエリアで体感できるならそれもこの土地の価値を高めるに違いありません。

事業者にとっても決してムダなことではないはずです。

 

幸いにして

本契約がまだであり

埋蔵文化財の発掘調査が行われており

そして民意による市長交代があった今だからこそ…

 

いったん立ち止まることには十分な理由があります。

 

旧市庁舎を激安で売り払い

77年間もの長期に渡って市民の意志が届かなくしてしまう前に

本契約をいったん延期し

市民と対話する時間を作って頂きたいと心から願い

山中市長の英断を求めます。

 

f:id:sakuraline:20210927225208p:plain

横浜市 旧市庁舎のこれまでの経緯

 


www.youtube.com

市長の本会議答弁の後、9月22日の常任委員会での質疑