今日、市議会の予算特別委員会で資源循環局への質問をしました。
内容は、今現在【南本牧処分場から、大量の放射性セシウムが垂れ流しにされている事】についてです。
南本牧最終処分場とは、私たち横浜市民が出したゴミが最後に行き着くところ。
横浜港に突き出たようにして廃棄物で海面を埋め立てています。
以前のブログでも書きましたが、この南本牧最終処分場をめぐっては、昨年突如発表された放射性の汚泥焼却灰の埋立について市民の反対の声が上がり、その力で凍結中。
ただ、より放射能濃度が高い汚泥(下水道処理から出る廃棄物)焼却灰を止める事はできましたが、家庭ゴミ等の一般廃棄物の焼却灰はずっと投入されています。
そのため横浜市は、処分場内の水を横浜港へ放水する前に【ゼオライト】を通して濾過し、セシウムを除去するので外には放射能を出さない、安心してと言ってきました。
これが【ゼオライト】
ちょっとした小石みたいな鉱物です。
南本牧最終処分場は、横浜港の一部を遮水性護岸で囲い、その中に焼却灰や不燃物等を投入する海面埋立。
廃棄物を入れた分、護岸内部の水面は上がるし雨も降るので、常にこの「内水」を処分場外の海へ放流しています。
その際、浄化装置を通すのですが、これまでの装置では当然、放射性物質が取れないため、昨年、汚泥の件が問題になってから、活性炭を入れていた浄化塔の一部に【ゼオライト】を入れて吸着させる事になりました。
昨年9月、この6塔のうち2塔にゼオライトを充填。
ところが、ナントこれ、1ヶ月足らず通水しただけで止めてしまったのです!
この事について質問した今日のやり取りの一部(概要です。正確ではないのですが)
局長=大熊洋二 資源循環局長
井上 なぜ、通水を止めたのか。
局長 ゼオライトの効果を見るためだったので。
井上 なぜ止めたかと聞いてるのですが。
局長 流入水(処分場から浄化装置へ入ってくる水)も放流水(装置から海へ出す水)も「不検出」なので。
井上 不検出ではなく、検出限界値以下なだけ。
大量の海水に焼却灰を投入したのだから、濃度で見れば、検出限界値以下かもしれない。
しかし、それは、セシウムが無いと言う事ではない。
実際、26日間、通水したそのゼオライトの、放射能濃度はどうだったか。
局長 1kgあたり5,000ベクレルだった。
井上 その数字を聞いて局長はどう思ったのか。
局長 ゼオライトはよく吸着するなと思った。
・・・・・・・・・・・
この答弁に一瞬、ガクゼン。
理科の実験じゃなくて、市民の命、健康がかかっているのに!
この方、何のために局長席でお仕事しているのか、分からなくなっているようです。
放射能濃度が高い「飛灰」でも、測定し始めてからの最高値で2,400ベクレル。(昨年6月)
その倍もの高濃度に、わずか26日間でなってしまうという事は、いかに処分場の内水にセシウムが溶け出ているかという事。
*「飛灰」⇒焼却場で集塵機に付着する微細な灰、放射能もダイオキシンも高濃度になるため特に危険
これほど高濃度のセシウムが、水ぎわのゼオライトで取れるなら、とにかくできるだけ吸着させて、海と言う環境中へ再拡散させない事が、どんなに重要か、なぜ分からないのでしょうか。
ゼオライト塔には5,500kgが充填されていたので、そこに通水した26日間で、5,000ベク/kgになったという事は、5,000ベク×5,500kg=2,750万ベクレルが取れたことになります。
逆に言うと通水を止めて以降はそれが海水に放出されているという事。
計算すると1日あたり、100万ベクレルにもなります。
通水を止めたのが11月1日なのでその後の4ヶ月以上、ざっと1億3000万ベクレルが横浜港へ放出されていた計算で、今もその状態が続いているのです。
じつは、私も最近質問の準備をするまで、てっきり、充填したゼオライトを使っているものだと思っていました。
昨年の秋に、あれほど、ゼオライトを通して除去すると言っていたからです。
見直すと、この局を所管する議会の常任委員会資料(昨年12/12)でも
「実施中の対策」として、「排水処理施設での除去対策として、6本ある活性炭吸着塔のうちの2本にゼオライトを充填する対策を、10月から始めています。」とあります。
今年の2月に地元住民向けに配布された資料にも同様の記載。
改めて見ると確かに「稼働」とか「使用」でなく「充填」。
でも、とっくに止めているのに「実施中の除去対策」って、これは確信犯的ダマシでしょう。
実際、当局から説明を聞いていた多くの方が、ずっとゼオライトを通して放水しているものと信じていました。
もう一度質疑の一部(の概要)
井上 なぜダマすような説明をするのか。止めた事は周辺住民や漁協や港湾関係者に説明したのか。
局長 不検出だと説明しています。
井上 濃度ではなく絶対量で大量に横浜港に流している、ゼオライトの通水を再開すべきだ。
局長 国の基準値以内なので問題ない。通水しない。
井上 ではなぜ、新たな放射能対策として堤防など造るのか。
局長 より安全に・・・
井上 その堤防の建設費はいくらで、ゼオライトにかかるのはいくらか。
局長 堤防の建設費は1億3,000万円。ゼオライトは一塔で120万円です。。
・・・・・・・・・
南本牧での堤防とか、焼却場でのベントナイト混ぜ込みとか、資源循環局は新年度に新たな放射能対策をいくつか始めているのですが、いずれもまだ完成には時間がかかります。
一方、南本牧の最後の水ギワである浄化装置には、既に充填されたゼオライトがあり、今この瞬間からでも通水すればセシウムの環境への再拡散を減らす事が確実に出来ます。
コストもずっと安い。
それでは、なぜ、こうも頑固に通水を拒否するのでしょうか。
今日の質問では時間がなくて、そこまでただす事が出来なかったのですが、
私は、いくつかの【不都合】が彼らにあるのだと考えています。
一つは、セシウムを大量に吸着したゼオライトの処分。
国は311以降、放射性物質の処理基準を大幅に引き上げて、本来通常の処理場で処分できない物まで埋立できる事にしてしまいました。
その基準が8,000ベクレル/kg
これを超えると埋立は禁止され保管義務が生じます。
今回、26日間の通水で、5,000ベクレルだったゼオライトは、既に南本牧処分場に投入され埋立処分されていますが、ちょっとの事で基準を超えてしまえばそれも出来ません。
とは言え、それほどの高濃度のセシウムを外に出さずに捕獲できるのですから、管理できない海中に出してしまうより、場所をみつけて保管する方がよっぽど安全です。(当然、費用は東電に請求できます)
継続して通水すれば、一定期間ごとに汚染されたゼオライトが生まれることになります。
処理のためにも濃度分析が必要ですし、それが今回のような高濃度で続けば、それはいかに南本牧最終処分場の内水にセシウムが出てしまっているかを実証することになります。
実はこれがさらに【不都合】なのではないかと思うのです。
と言うのは、横浜では、放射性物質が水に溶け出やすい「飛灰」を、問題が分かって以降も、相当期間、水中に投じていました。
昨年6月28日付けで環境省は全国の自治体へ「一般廃棄物焼却施設における焼却灰の測定及び当面の取り扱いについて」という文書を出し、その中で「主灰」と「飛灰」は可能な限り埋立場所を分け、それぞれの埋立場所が特定できるようにする事を求めています。
また、この時に、「飛灰」に含まれる放射性セシウムは水に容出しやすいという事も自治体に知らせていました。
横浜と同様に最終処分が海面埋立方式の川崎市はこれを受け、飛灰と主灰を分け、「飛灰」は埋め立てずにコンテナに入れて陸上での保管を続けています。
横浜ではそのようにせず、途中から主灰の盛土の中に投入したりしてましたが遮水はされていません。
もっと早く気づけば良かった、という思いがあります。
汚泥焼却灰の事を問題にしてきたのに、もっと考えるべきだった、と自分の不覚を恥じる気持ちです。
とは言え、がっくりしてもいられません。
処分場内の海水が既にかなり汚染されてしまった事は確かなようですし、そこから海へ出る放射性セシウムを少しでも減らさなければと思います。
いったん、海等の環境中に拡散してしまえば、海水であったり海中の生物に蓄積する等して、私たちの身の回りで危険な放射線を出し続けることになります。
濃度を薄めて、国の言う「基準値」以下なら、どんなに大量に拡散しても構わないという神経、
そして、自分たちの都合の良いように事態を解釈する姿勢、こういう人たちに子ども達や多くの市民の将来を預ける事はできないと、今回改めて思いました。
まずは、すぐ出来る、浄化装置のゼオライトへの通水を再開させましょう。
この問題、多くの市民の皆さん、特に横浜港を使っている方、港で働いている方、釣りやレジャーを楽しんでいる方にぜひ知っていただき、いっしょに声を上げていただきたいと思います。