横浜市では今週土曜に「広報よこはま」の放射線特集号を全世帯に配布すると言うのですが、
その中身を見て驚きました。
学校給食で問題になった汚染牛に関しては、
「規制値を10倍超えてたとしても、、、数回食べたとしてほとんど問題ない」
食品汚染は「受動喫煙よりずっと小さいリスク」
などと書いてあり、「放射線被ばく早見図」なる自然放射線や医療放射線の比較表が。
原発事故直後はこういう表がマスコミでも多用され、「直ちに影響ない」から大丈夫と言われましたが、その後に市場に広くセシウムに汚染された牛肉が出回っていた事等が明らかになるにつれ、内部被ばくを含め軽々には語れない事が知られてきたと思います。
ところが、横浜ではまだこんな事を。。。
食品汚染による内部被ばくの影響については、専門家でも意見が分かれていますから、客観的には、「現状ではその影響はまだよく分かっていません」と書くしかありません。
しかし、低線量で長期間被ばくする事の危険を知らせる研究はいくつも発表されており、
(例えば⇒
http://www.rri.kyoto-u.ac.jp/NSRG/seminar/No110/kagaku050711.pdf)
市民の健康、特に放射線の影響を受けやすい子どもを守る立場からは、より安全性へ配慮する見解を取るのが当然です。
この横浜の広報は、その自治体としての義務に反しているとしか思えません。
さらに、その安全の根拠として
「牛肉以外に規制値を超えた食品は出回っていない」などと記載していますが、皆様ご存知の通り、今日もニュースでは、市場に出ていた埼玉県産の茶葉から暫定規制値を超えるセシウム汚染が見つかった問題が報道されており、出回っていないとは、実態と余りにかけ離れた認識です。
その他にも、「汚染はそれほど長期間は続かないでしょう」などの無責任としか言えない記述や、被ばくによる健康被害はがんだけではないのにがんになるリスクだけ取り出して論じている事など、ざっとみただけでもあまりに問題の多い内容です。
これらの記載は先日行なわれた横浜市主催の放射線に関する特別講演会で コーディネーターを務めた唐木英明氏によるものとなっていますが、
根拠に乏しく、また専門家の中でも特殊で、国際的には通用しない主張を、
なぜ今、横浜の公式見解として広報するのでしょうか。
横浜市長はこの中身に責任を持てるのか、大変な問題だと思います。
さらに、広報の中には、「汚染された牛肉が出回り、騒ぎになりました・・・しかし心配ない」とか、「規制値の意味を誤解しているために・・・今回の騒動が起こった」等、
心配する事自体が問題であるかのような記述があります。
これは、先日の新聞インタビューで市長が「最も恐れたのは不安の広がり」などと答え、市民から多くの批判が出たのと同じ傾向です。
これでは、本会議でその真意を確かめた私の質問に対し「言葉が足りなかった」と釈明した市長の答弁と矛盾します。
不安に思うのは、進行している危険から子どもや我が身を守ろうとする正当な感覚なのに、それを「騒動」などと敵視するかのような言葉を、仮にも自治体が広報して良いでしょうか。
今日は、大場副市長にも担当者にも後で謝罪する事になるようなこの広報の全世帯配布など中止するように申し上げましたが、「ご意見としてうけたまわ」られただけで、配布はどうしても行なう様子。
残念です。
配布予定の広報 表⇒
http://nanohana.me/home/wp-content/uploads/2011/09/yokohama_koho.jpg 裏⇒
http://nanohana.me/home/wp-content/uploads/2011/09/yokohama_koho-2.jpg