井上さくら の トキタマ日記

横浜市会議員 井上さくら のブログです

【カップヌードルミュージアムパーク】懲りない横浜市の「ネーミングライツ」

先週から定例議会が始まりました。
来年度の事業を審査し予算を議決する、重要な議会です。

一般会計に特別会計など合わせると全体で3兆円を超える大きな予算案。
初日から今日まで4日間、会議室に缶詰め状態で各局幹部による予算説明が続きました。

市税収入を前年度より38億円減収で見込む等、厳しい財政運営が続く中、財源確保策の一つとして説明されたのが「ネーミングライツ」。
日本語にすると「命名権」・・・これを「販売」し財源を得るのが新しい手法とされています。
来年度も導入を進めると言いますが、今年度の実績を聞くと、昨年12月に公募したみなとみらい地区の一件のみ。
それが、「新港パーク」を【カップヌードルミュージアムパーク】にする、という提案なのです。

新港パークはこの地図の右上あたり。
横浜港に面し、「臨港パーク」と対になって花火大会の観覧会場にもなるナカナカのロケーションにあります。
横浜市の公共事業として埋め立てをし、現在は港湾局の所有。

で、この市民の公園を商品名の入った名称に変更する対価はいくらなのか?と言うと、年間500万円也
ずいぶん安くないだろうか。
根拠を聞くと港湾局長は「年間維持費がそれくらいなので・・・」。
何だか安直だ。
手を挙げる企業側は、この場所に商品名がつく事で大きな宣伝効果、企業のイメージアップ等々を相当に見込んでいるはずなのに。

ところが、さらに驚く事には、名称変更に伴う看板や道路標識等の架け替え費用は全て横浜市持ちだと言う。
その費用が約300万円。
500万−300万=200万円也

この新港パーク(2ヘクタール)の造成には、32億円かかっている。
それがあっという間に超格安物件になってしまったみたいだ。
これが「財源確保策」・・・
年間200万円でこの付近を示すあらゆる地図や案内に名前が入れられるなら、私だって検討したい(?)。

こんないい条件、さぞかし、この公募をした時には競争が激しかったのではと思いきや、応募はカップヌードルの日清1社のみ
これでも公募と言えるのかしら。

本当に多くの企業・団体、市民にも知らせてアイデアを募集したら、この場所で1件しか出ないという事は私には考えられない。
多くの提案が集まれば、その中から横浜市の戦略に沿うもの、よりメリットがあるものを市民にも参加してもらって選ぶことができる。
そうして競争性、透明性を確保する事が、公共施設の命名権提供の最低限の条件ではないでしょうか。

そもそも、最近の横浜市ネーミングライツ事業は対象施設と名称などを全て企業側におまかせで提案してもらう方式。
企業主導になりがちだ。
しかも今回は、隣接地を港湾局から購入し「カップヌードルミュージアム」を建設した日清に、その港湾局が働きかけて進めたもよう。
こういうのを世間では「出来レース」と言う。

横浜市ネーミングライツをめぐっては、過去に多くの問題があった。
新横浜の「日産スタジアム」の例もその一つ。

ワールドカップの決勝戦誘致に向けて横浜市民の税金で造られたものの、年間 10億円近い維持費が重い負担となり命名権を販売。
日産が年間4億7000万円で契約したため「日産スタジアム」になった。
ところが契約終了の5年後、次期契約を募集したところ手を挙げるところが無く、7割引の年間1億5000万円に値引きしてようやく日産と再契約にこぎつけ「日産スタジアム」として継続されている。

この時、私が所属していた当時の「無所属クラブ」として、ネーミングライツを行なう時には議会にかける事を条件にする条例を議員提案した。
残念ながら、その条例案は賛成少数だったため実らなかったけれど、議会も含めて、公共の財産をどう活用すべきなのか、役所任せにせず、もっと関与しなければ、いくらでも切り売りできてしまうのが今の仕組みです。

カップヌードルミュージアムパーク】については、近く市民意見の募集があるそうなので、ぜひ皆様のご意見を、懲りない横浜市にお寄せ頂ければと思います。
http://www.city.yokohama.lg.jp/kowan/news/houdou/2011houdou/20120131094253.html

ちなみに、私は「カップヌードル」だからいけないと言っている訳ではありません。
一時期やっていたテレビCMも面白かったし、チリトマトとか好きですし。。。。